イオンアグリ創造(株)

 大幅なスケジュール変更があった2016年卒の就活。その影響を採用する側はどのように捉えているのでしょうか?
 今回は、大規模農業を展開するイオンアグリ創造株式会社の採用教育マネージャー萱野佑典さんに伺いました。

☆右写真:採用教育マネージャー 萱野佑典さん
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」33号/2015年冬号より転載)

モチベーションの高さが何より重要!

―2016年卒から採用スケジュールが大きく変わり、影響はありましたか?
 メリットもデメリットもありました。当社は指針通り3月から説明会を始め、8月から選考を実施しましたが、メリットで言えば、会社説明会と農場見学の時間が十分取れたことです。デメリットとしては、企業間で選考開始の足並みが乱れて学生が混乱したことです。例年通り4月から選考を始めた企業も多く、他社から早い段階で内定をもらい、その時点で当社の選考を辞退する学生さんも一定数見受けられました。逆にいえば、当社を本命に考えている学生さんが最後まで受けてくれたのかな、という印象です。

―他社とは競合相手だと思いますが、どのような企業が挙げられますか?
 他業種である食品メーカーや研究職、農協や種苗会社といった農業関連企業ですね。当社を志願する学生さんの多くはやはり農学系なので、農学系の学生さんの多くが目指す企業・業種が競合相手になります。

―農学系の学生さんが多いのですね。
 傾向としてはそうですね。ただ、文系やその他理系の学生さんもいますよ。今年も社会学部や理工学部、福祉系の学科といった学生さんが入社予定です。
 会社としても人材のバランスは気にしていますし、専門性よりも農業に対するモチベーションを大事にしているので、まずは農業に興味のある学生さんに志願いただけるとありがたいですね。

―モチベーションが重要ポイントですか?
 はい。モチベーションが高ければ仕事の飲み込みも早いですからね。もちろん、当社の理念である「お客さま視点」と、「なぜ農業がしたいのか?」という質問に答えられなければ厳しいですが。質問としてはシンプルですが、志願者の農業に対する思いが一番表れます。

―見極めはミスマッチを防ぐ上でも重要ですよね。説明会や農場見学会もミスマッチを防ぐための方法ですか?
 そうです。説明会でまずは広く色んな学生さんに当社のことを知っていただきます。そこから興味を持ってエントリーシートを出していただいた学生さんには、更に農場見学にご参加いただいています。入社後の職場は農場です。お世辞にも綺麗とは言えない環境ですし、泥にもまみれます。リアルな現場をしっかり見て、よく納得した上でご入社いただくことを大切にしています。

―様々な学部・学科から来た学生さんを、どのように育成するのですか?
 入社3年後には農場経営責任者である農場長になってもらえるよう、しっかりした研修制度を設けています。ビジネススキルでは、ロジカルシンキングや問題解決といった普遍的な力を、管理面ではヒト・モノ・カネの管理といったマネジメントの基本を、ステップに応じて順次学んでいきます。
 例えば「キャベツを生産する」場合、「良いもの」を作るのはもちろんのこと、経費と売上、利益を考えられなければ農場経営はできません。種代・肥料代・農薬代・人件費といった経費を管理しつつ、周囲を巻き込んで計画的・効率的に農場運営を行うノウハウを身に付けていく必要があるのです。


△広大な畑をマネジメント

―なかなかハードですね。
 農場長は、その農場の「経営者」ですからね。だから、農業が好きで、経営者になりたい人には大変やりがいのある仕事だと思います。とはいえ、生産がしっかりできていなければ会社として成り立ちませんので、栽培のプロフェッショナルも当然必要です。両者のバランスが重要です。

―ところで、再度変更となる2017年卒に向けて、対策は練られていますか?
 詳細はまだ考え中ですが、農場見学は今年も必ず実施します。期間が短いので計画を立てるのが難しいですが、大手企業含め、昨年よりは選考の足並みが揃って「抜け駆け」が減る予想なので、弊社にとってはメリットですね。


△農場見学会の様子

―最後に、就活生に一言お願いします!
 短期決戦となり学生さんにとっても大変かと思います。しっかり情報収集をして自分のやりたいことを見つけ、悔いのないよう就職活動に臨んでください!


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