「農業の可能性を、日本農業が変わる力に!」
鈴盛農園 代表 鈴木啓之


(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」32号/2015年秋号より転載)
写真は、鈴木啓之さん(右)と奥様(左)

プロフィール

氏名: 鈴木 啓之(32)
出身: 愛知県碧南市
略歴: 高校卒業後、自動車関連会社に就職。23歳で統括マネージャーに抜擢され、管理職をしながら経営を学ぶ。25歳の頃、突如農業に目覚め農業の世界へ。「農業をカッコよく」を目標に、積極的に表舞台にも出ている。現在、全国農業青年クラブ連絡協議会 61・62代目会長を務める。

農業の可能性を、日本農業が変わる力に!

―就農のきっかけを教えてください。
 最初は「農業やる」なんて1ミリも考えていませんでした。「早く社会に出て自分の力を試したい」と思っていたので、高卒で自動車関連会社に就職しました。役職も付き、会社からの期待も高かったのですが、どんどん「独立したい!」という気持ちが強くなりました。

―それで農業に?
 実は最初は、夫婦で服屋をしようと思っていたんですよ。それが、会社に勤めながら独立準備を始めて2ヶ月経った頃、急に「農業しよう」と思ったんですよね。最初は直感でしたが、色々シミュレーションをした結果、農業に大きな可能性を感じました。妻には何の前触れもなく「俺は農業をやる」と言ったので驚かれましたが(笑)、社長は「農業をするなら応援する。頑張ってこい」と送り出してくれて、退職した今でも良い関係が続いています。
 ただ、僕の実家は非農家で農地はじめ何もありませんでした。唯一、祖母が2反の畑で農業をしていたので色々教わっていたのですが、「きちんと学んだ方が良い」と言われ、たまたま見つけた愛知県農業大学校の研修制度で7カ月間学び、終了後には県内の大きな農業法人で2年間働き、その後独立しました。

―独立にあたって何が大変でしたか?
 農地の取得ですね。この地域では「農地を30a一括で賃貸契約しなければ農家世帯になれない」という要件があるのですが、有益な農業地域のため余っている農地がほとんどありませんでした。それでも市の方の協力もあり、何とか30aの耕作放棄地を借りられました。現在は独立して4年目ですが、面積は2.1 haに拡大しました。作物は人参を中心に、季節の野菜を周年栽培しています。

―なぜ人参をメインにされたのですか?
 ここ碧南市は人参の産地で、約150軒もの人参農家がいます。その中で人参農家として認められ、かつ一番目立つことを最初の目標にしたからです。

― 一番目立つ、ですか?
 はい。僕の永遠のテーマは「農業をカッコよく」。そのためには、農業者の立場からどんどんアプローチをして目立つことが重要だと考えました。その方法として、講演会やメディア出演等の話があれば積極的に受けています。そのため会社を空けることも多いのですが、農場長である妻や心強いスタッフ達がいるので、安心して外へ出ることができます。
 ちなみに就農1年目は1人で農業をしていたのですが、仕事に没頭し過ぎて、毎日2~3時間しか寝なくて、朝も昼も食べなかったのでガリガリでした。その姿を見て周りの人には「農業ってご飯を食べていけない(稼げない)仕事だと思うけど頑張ってね」と変な誤解を生んでいました(笑)。一方で、農業が潜在的にそんな風に思われているのが悔しくて、「頑張っていち早く見返さないと」と思い、より働きました。その1年間を振返ると、「情熱があったら生きていける!」って思いますね。

―熱いですね!今後の展開も楽しみです。
 今後はもっと大きな経営体に成長させ、雇用を増やし、グループ化して、ゆくゆくは全国展開もしていきたいと思っています。併せてメディアにもバンバン出て「農業は面白い」と言い続けたい。「農業の中でのメジャーな人」ではなく「世の中でメジャーな農家」になって、「鈴木さんのような農家を目指したい!」と言ってくれる若者を増やしていきたいですね。

―最後に学生へ一言お願いします!
 「君は自分自身の可能性を信じられるか」と投げかけたい。自分自身を信じ、考える力を付けることは、必ず自分の糧になります。
 また、農業はやろうと思えば何でもでき、夢を叶えるツールとしてもすごく有効的です。将来は農業の世界で活躍してほしいですね。

<ちょっと気になる一問一答>

Q 座右の銘は?
A 「汝、鶏口と成れども牛後成るなかれ」。大組織の中で埋もれているぐらいなら、小さくてもいいからトップに立てという意味。中学生の頃に知り、今でもピッタリな言葉です。

Q 好きな女性のタイプ
A 男性に媚びない人。女性も強くあってほしい。

Q 好きな農機具は?
A トラクター。汎用性のある機械で、後ろを付け替えると何でもできる。まさに農業の可能性を示してるような機械です。

Q 好きな農作業の瞬間

A 草取り。元が耕作放棄地なので年中草取りしている感じですが(笑)、終わって振り返った時の達成感や感動は忘れてはいけないことだと思います。

Q 農園名の由来は?
A 祖父・鈴木盛司が付けた屋号「鈴盛」を継承しています。ちなみに会社の柱である人参「スウィートキャロット リリィ」は、祖母・りりの名前に由来します。伝統を受継ぎ、その上で自分なりの農業をすることが、凄く大事だと思うんですよね。

リンク

 鈴盛農園
⇒ http://www.suzumori-farm.jp/


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