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農業界で働く方々の声を聞く


「楽しさ、辛さ、全てを地域住民と共に!」
愛媛県西予市役所/愛媛県東京事務所 橋本直美

大学時代は地域政策を専攻し、環境保全型農業やグリーンツーリズムについて学んでいた橋本さん。
最初に就いた農業係では、その知識も役に立ったそうです。
具体的に、これまでどのようなお仕事をされてきたのか、お聞きしました。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」32号/2015年秋号より転載)

楽しさ、辛さ、全てを地域住民と共に!

―公務員は異動が多いと聞きますが、これまで就かれた部署を教えてください。
 最初は農業係、次に男女共同参画、支所の総務課、そして今は東京事務所です。入庁の際に、技術職であれば異動も専門分野が中心になりますが、私は一般行政職なので1つの分野に特定されず様々な部門に異動します。就活の際、「地元に戻り、様々なライフスタイルの方々と接しながら仕事がしたい」と思っていたので一般行政職を選びました。

―その中で農業関係の業務に関しては、どのようなことをされていましたか?
 「中山間地域等直接支払制度」の窓口や「生活研究協議会」の事務局、農業委員会の窓口業務などを担当しました。
 「生活研究協議会」では、農家のおばさん達と「野菜や加工品をどう売るか」などワイワイガヤガヤと企画を立てたり、視察研修では様々な「道の駅」や加工所等を見て回りました。中には「都市農村交流をしたい」「農家民宿をしたい」という方もいらっしゃったので、大学時代の知識も役立ちました。

 特に印象に残っているのは「中山間地域等直接支払制度」の窓口です。この制度は、「農業生産条件が不利な状況にある中山間地域等における農業生産の維持を図りながら、多面的機能を確保する」(※1)ことを目的にした国の補助事業ですが、例えば、水路保全や畦草刈りなど環境を守る活動等に対して補助金が出ます。逆に、きちんと管理ができていなくて荒れてしまうと、補助金が出なかったり、補助金を返還しなければいけない場合もあります。そうなると結果的に農家さん自身が困ってしまうので、厳しく指導していました。もちろん、笑顔は忘れずに!時には農家さんと一緒に圃場を見に行き、「ここ草刈れてないじゃないですか。次来る時までにちゃんと刈ってください」等と言って指導しました。中山間地の圃場は法面の傾斜がきつかったり、山の上に圃場があったりするので、農家さんは労働的にも大変なんです。
 あと、申請書の管理もしていました。領収書や収支に間違いがないか等のチェックをするのですが、私が担当していた協議会が80以上もあったので管理が大変だったのと、途中で申請書の様式が変わったので大変でした。申請書への記入は協議会の方、つまり農家さんがされるのですが、地元説明会に行った時、「なんで今更変えないけんの!?役場は勝手なことばかり言って、どないなるんや!」と言われた時は、面を食らって、帰り道で泣いてしまいました(笑)。

―農家さんも大変そうですが、指導や管理をする側も大変そうですね。
 そうですね。ただ、厳しい対応をさせていただいた農家さんほど最終的には仲良くなれる場合が多いですね。農家さんからは「あの時は難儀したぞ」とか言われますが(笑)、本気度を見せることで人間関係が築かれていくのだと思います。

―地域の皆さんと一緒に仕事をされているのですね。
 公務員の中でも、市町村役場は住民や現場と一番近いと思います。「ありがとう」「おかげさまで」などダイレクトに感謝の言葉をいただけた時は、すごく嬉しくなりますね。

―ところで今は地元を離れ東京(東京事務所)にいらっしゃいますが、どういった役割を担っているのでしょうか?
 愛媛県東京事務所には、首都圏での活動を円滑に進めるために県や市町村の職員が来ています。市町の職員は必ず来なければいけないという事はありませんので、出向者がいない市町もあります。
 私は産業振興担当として、企業誘致や観光PRを中心に行っています。例えば大手旅行会社へ行き「愛媛県にはこういう観光資源があり、こういう補助金があるので、ぜひツアーを組んでください」といった営業をします。また、愛媛県の農産物PR活動の一環として、ホテルや飲食店に愛媛県の農産物をご紹介したり、それらを使ったフェアの開催を働きかける等もしています。シェフの方から「これ美味しいね」「こういう料理に使いたい」など、どういうものが求められているのかも聞けるので、地元に戻って「東京に向けて野菜や加工品を売りたい」という方がいらっしゃれば、こちらで学んだことを教えられるかなと思います。
 他にも、西予市の要望を国会議員や農水省の方に直接お会いして伝えるなど中央省庁等への働きかけもしています。出向期間は基本的に2年間。来年には地元へ戻る予定なので、ここで得たことを活かしていきたいと思います。

―最後に、学生へ一言お願いします!
 市町村役場は住民がすぐそばにいる仕事なので、人と人との関わりが好きな方には良いと思います。それに、私のように一般行政職だと総合的に地域が見られるので、そこも魅力の一つかなと思います。


※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。



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