農業生産法人(株)アグリスリー 代表 實川勝之
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」28号/2014年秋号より転載)
プロフィール
氏名 實川 勝之(34)
出身 千葉県山武郡
略歴 パティシエをしていた頃、実父の怪我がきっかけで就農。その後、家業を法人化し、農業生産法人(株)アグリスリーを設立。現在、梨・米・野菜を中心に事業を展開している。
地域に根差した農業を!
―就農のきっかけを教えてください。
調理師学校卒業後、ケーキ屋でパティシエをしていたのですが、1年ほど経った頃、父が農作業中に大きな怪我をしました。父の怪我が完治するまでの間、家業の農業(米・野菜)を手伝うことになり、その時は「父が戻ってきたらパティシエに戻ろう」と思っていたのですが、怪我が原因で大病を患ってしまい、僕はそのまま農業を続けることになりました。そして、続けるうちに農業の魅力を感じ、就農を決めました。それが20歳の頃です。
その後、完治した父は農業に復帰できたのですが、そうなると今度は人手が増えた分、同じ面積だと一人あたりの収益が減るので、「規模拡大をしよう」という事になり、新たな作物として梨を始めることにしました。
―なぜ梨になったのですか?
千葉県は日本一の梨の産地ですが、この地域には梨農家がいなかったこと、東京や千葉市など消費地が都心に近いこと、そして何より自分で値段をつけて売りたかったからです。
そして、21歳の冬に苗木を購入しました。梨は、植えてから販売できるようになるまで5年程かかります。その間、梨の樹の手入れをしたり、いろんな梨農家さんに研修へ行ったりしながら、米と野菜の生産をしていたので、人生の中で一番働いていましたね(笑)。基本的に、朝3時起きでしたから。
―早いですね!今は何時起きですか?
農繁期だと、朝5時から収穫をしています。梨は日持ちがしない果物なので、朝採り、朝出荷、その日に売り切りがベストです。販売先の8割は地元。当社を拠点に東西南北、半径10~15㎞圏内の直売所やスーパーはカバーしているので、車2台で配達をします。
―地元を大事にされているのですね。
農業は地に根差した産業なので、地元の人に認められた上で仕事をしたいと思っています。おかげさまで、今は梨が足りないくらいご購入いただいていますが、最初は顧客がいないところからのスタートでしたよ。
―どのように販路開拓をされたのですか?
一番初めは近所の方でしたね。初収穫の時は、「ようやく採れたのですが、買います?」「じゃあ買うよ」という感じで。そこから、地域の直売所へ行って交渉したり、ちょっと大きな事務所に飛び込みで行って販売したり。今思えば、チャレンジャーですよね(笑)。当時は販路開拓の方法も分からなかったし、梨ができてみないと味も分からなかったので、事前に売り込む事はしませんでした。しかも当時は、今のようにネットが普及していなかったので、自分の足で歩いて、手探りで開拓していきました。
―地に足の着いた取り組みですね。今後はどのような展開を考えられていますか?
一つは6次産業化です。例えば「王秋」という梨は、上手く生産して予冷をかければ1年間も保存可能で、フレッシュの状態で加工品が提供できます。ここで大事なことは、6次産業化は加工品を作るのがゴールでなく、地域を巻き込んだ取組みをしたり、雇用創出につなげ、「産業」として成り立たせることです。
加工品に取り組む目的は、今後増えるであろう農地を引き受けた時に、きちんと経営ができるように、という考えもあります。地域の農家さんが高齢化していく中で、「うちの農地を使ってほしい」という声は、現時点でも沢山あります。それらの農地を引き受け、規模拡大をした時に、「ここは加工用」「ここは青果用」と圃場ごとに特化しておけば、新たな人材を雇用した際に技術に応じた人員配置もできますし、経営戦略も立てられます。これからも、地域に根差した農業を目指します!
ちょっと気になる一問一答
Q 趣味は?
A 料理です。よく、友達を呼んでワイワイするのですが、その時は腕を振るいますよ!
Q 好きな農作業は?
A 梨の剪定です。パズル感覚なんですよね。縦横無尽に伸びている枝を「ここを切って、これを入れて」と考えながら作業するのですが、2~3年後の枝ぶりを想像しながら進めていくが楽しいです。
Q 初めて収穫した時の梨の味の感想は?
A 初収穫の喜びからくる美味しさはありましたが、梨本来の美味しさはまだまだだなって思いました。
Q 好きな言葉は?
A 「どんな肥料よりも園主の足跡」。特に梨に関しての言葉ですが、どれだけ良い肥料や薬を使ったとしても、手をかけた方が良いものができる、という意味です。
Q 好きな女性のタイプは?
A きれい系よりかわいい系!
Q 自分の性格を一言で表すと?
A 几帳面A型タイプ。梨畑も、樹をきっちり植えて、枝もきちっと整えています。結果的に均一に栄養が行き渡り、美味しい梨づくりにも繋がりました。
リンク
株式会社アグリスリー
⇒ http://agrithree.com/
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