農業界の業種一覧
肥料
肥料とは、植物を生育させるための栄養分として、人間が施すものです。
「肥料取締法」第2条で、『「肥料」とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じように化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう』と記されており、
第2条2では、『「特殊肥料」とは、農林水産大臣の指定する米ぬか、たい肥その他の肥料をいい、「普通肥料」とは、特殊肥料以外の肥料をいう』と記されています。
なお、肥料制度については、「肥料取締法の一部を改正する法律」が令和元年12月4日に公布され、現在見直しが行われています。
肥料に興味のある方は、農林水産省のページから詳細をチェックしてみましょう。
参考▶農林水産省「肥料」ページへ(外部リンク)
「N-P-K」とは?
植物の生育に必要な元素(必須元素)は17種類ありますが、その中で特に窒素(N)・リン酸 (P)・カリ(K)は外せません。
この窒素(N)、リン酸 (P)、カリ(K)は、必須元素のうち「肥料の三要素」と呼ばれるほど重要なものです。
具体的には、窒素(N)は葉や茎の生長に、リン酸 (P)は開花・結実の促進、カリ(K)は根の発育を促進する作用があります。
余談ですが、肥料袋に書かれている数字は「N-P-K」の割合が書かれており、例えば「8-8-8」と書かれていれば、N・P・Kがそれぞれ8%含まれていることとなり、「10-8-4」と書かれていれば、Nが10%、Pが8%、Kが4%含まれていることになります。
なお、これら原料はほとんどを輸入に頼っているため、肥料業界は世界の動向により大きな影響を受けるといわれています。
一方で、これら原料ではなく、未利用資源を利用した肥料製造の研究等も進んでいる。
参考
・「「肥料の三要素」チッ素、リン酸、カリの働きは?」(NHKテキストView)
・「農業生産資材(農機、肥料、農薬、飼料など)コスト の現状及びその評価について」(平成28年2月 農林水産省)
化学肥料と有機質肥料
肥料は大きく、化学肥料と有機質肥料に分類されます。
化学肥料は鉱物などを原料に製造された肥料で、有機質肥料は魚粉や骨粉、油粕など動植物性の有機物を原料に製造されています。
この両者の違いは、例えば、化学肥料は即効性で持続性が短く(※製造方法によってゆっくり効いたり持続性があるものもある)、
有機質肥料は緩効性でじわじわ効くものが多いので、作物の状態や与える効果への期待によって使い分けたり、
コスト面との折り合い(一般的に有機質肥料の方が高値)、土壌分析の結果により足りない成分を集中的に施肥したい、
栽培方法にこだわりたい、土壌改良をしたい、においとの兼ね合い、など状況に応じて使い分けることが大切です。
形状は、固形(粉状、粒状、ペレット状、など)もあれば液体もありますが、
栽培方法(露地・ハウス、土耕・水耕、など)や散布方法(手でまく、散布機を使う、ドローンを使う、など)等によって使い分けます。
参考
・「肥料をめぐる事情」(平成29年10月 農林水産省)
・「農業生産資材(農機、肥料、農薬、飼料など)コスト の現状及びその評価について」(平成28年2月 農林水産省)
業界大手
肥料メーカーで大手と言われる企業の事業規模は以下の通りです。
国内需要が減少傾向にある肥料業界は業界内での統廃合が進み、経済産業省(平成28年9月)の資料によると「現在の上位4社は15年前には16社」(※)であったことが記されています。
なお、世界の肥料消費量は、人口の増加等に伴い、年々増加しています。
引用
(※)「生産資材(肥料・農機)の現状について」(平成28年9月 経済産業省 製造産業局)
参考
「肥料をめぐる事情」(平成29年10月 農林水産省)
※データは各社ホームページを参考に作成。
片倉コープアグリ株式会社 | |
※2015年10月、片倉チッカリン株式会社とコープケミカル株式会社が合併し同社が発足。 | |
事業内容 | 売上高 |
肥料部門、化成品部門、飼料部門、不動産部門、ほか | 単体352億円、連結383億円(2019年3月期) |
ジェイカムアグリ株式会社 | |
※2009年10月、チッソ旭肥料株式会社と三菱化学アグリ株式会社が合併し同社が発足。 | |
事業内容 | 売上高 |
化成肥料等の製造・販売 | 342億円(単体/2019年3月期) |
エムシー・ファーティコム株式会社 | |
※2008年8月1日、トモエ化学工業株式会社、コウノシマ化成株式会社、播州ケミカル株式会社、宇部興産農材株式会社、ダイヤケミカル株式会社が統合し同社が発足。 | |
事業内容 | 売上高 |
技術普及、開発、輸出・原料販売、化成品販売 | 165億円(2018年3月実績) |
サンアグロ株式会社 | |
※2007年4月、日産アグリと三井東圧肥料が事業統合し同社が発足。 | |
事業内容 | 売上高 |
肥料部、農業資材部、グリーン資材部、たばこ資材部 | ー |
農業関連企業・団体インタビュー
実際に働いている方々はどのような仕事をし、どのような想いがあるのでしょうか?
インタビュー記事を読み、ご自身の考えも深めてみましょう!
片倉チッカリン株式会社(※現:片倉コープアグリ株式会社)
次長 鈴木康夫さんと、課長補佐 鈴木邦彦さん(写真右)にお話を伺いました。(取材:2015/07/24)
「循環型農業について」
(株)アーク 館ヶ森アーク牧場
※記載情報は取材当時のものです。
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