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農業界の業種一覧


流通・販売 ①市場流通

生産された農畜産物は、流通を経て消費者に渡ります。
一昔前までは市場流通が一般的でしたが、現在は農業者が消費者に直接販売をすることも珍しくなく、農産物ECサイトの専門企業も増えてきました。 このように、流通の形態や規模は様々です。それぞれの特徴や仕組みなどをざっくり見ていきましょう。

農産物流通の流れ

*国産農産物の流れを記載(畜産物、輸入品、食品加工等は省く)

① 市場流通

 上記で「一昔前までは市場流通が一般的でしたが」と明記しましたが、平成28年度の「国産青果物の卸売市場経由率」が約80%であるように(※1)、 現在でも農産物流通の大半は市場流通が占めています。
 市場は「卸売市場法」に則り運営されています。また市場には、農林水産省の許可を受け地方公共団体が開設・運営する「中央卸売市場」と、都道府県の許可を受け地方公共団体や民間企業等が開設・運営する「地方卸売市場」に分かれます。 市場数は年々減少しており、平成30(2019)年度末では、中央卸売市場は64市場、地方卸売市場は1,037市場、となっています。(※2)

 市場の役割は、東京都中央卸売市場によると、以下の3点が明記されています。(※3)

● 消費者に対する迅速で安定的な生鮮食料品等の提供
● 生産者に対する確実で速やかな販路の提供
● 小売業者等に対する取引の場の提供

また、卸売市場の機能は、農林水産省の資料によると、以下の4点が明記されています。(※1)

① 集荷(品揃え)、分荷機能(全国各地から多種多様な商品を集荷するとともに、需要者のニーズに応じて、迅速かつ効率的に、必要な品目、量に分荷)
② 価格形成機能(需給を反映した迅速かつ公正な評価による透明性の高い価格形成)
③ 代金決済機能(販売代金の迅速・確実な決済)
④ 情報受発信機能(需給に係る情報を収集し、川上・川下にそれぞれ伝達)

 市場には日々大量の青果等が入荷されます。卸売業者はこれらを集荷し、せりや相対取引(★)などを通して仲卸業者や売買参加者に販売します。 この「価格形成」は市場の大きな機能の一つです。(写真は大田市場のある日のせりの様子)
 ニュース等で取り上げられる「値崩れ」や「野菜価格の高騰」などは市場の相場を基に取り上げられることが多いのですが、 これは需要と供給のバランスが崩れた場合に起こる現象です。 例えば、天候不順等で農産物の生産量が減り市場に入荷する量が減った場合は需要に対して供給量が足りないため値段が上がり、 逆に、豊作等で農産物の入荷量が増えた場合は需要に対して供給量が過剰になるため値段が下がります。
 ちなみに、「農業者が自分で作った農産物の値段を決められない」と言われるのは、せり人(他者)が価格を決めることや、せりを終えるまで出荷した農産物の金額が決まらないためです。 一方で、販売に手がかからないので農作業に集中できる、多くの量を捌いてくれる、入金が早い、クレーム対応にワンクッション入ってくれる、など様々なメリットもあります。

(★)せりと相対取引について(「卸売市場ってどんなところ?」より引用)

せりは、一人の売り手に対して、複数の買い手が競争して、取引価格を決める取引のことです。大勢の中から買い手を公平に決めることができるので、特に、高級品や希少価値の高い商品(例:まぐろ、メロン、牛肉)でせりが行われます。
相対取引は、売り手と買い手が1対1で交渉して、数量・価格などを決める取引です。

 せりや相対取引などの取引は、卸売業者および仲卸業者、売買参加者によって行われます。それぞれの役割は以下の通りです。
(※図の中にある「関連事業者」は、市場内で市場利用者のためにサービスを提供する業者の総称で、農産物取引には直接関りがないため以下では省略しています)

●卸売業者
出荷者から委託または買い取った荷を、せりや相対取引によって仲卸業者や売買参加者に販売します。 中央卸売市場で営業する場合は農林水産大臣の許可、地方卸売市場の場合は都道府県知事の許可が必要です。

●仲卸業者
市場内の仲卸店舗にて、卸売業者から購入(仕入れ)した商品を販売先のニーズに合わせて小分けやパッキング等をして販売します。 中央卸売市場で営業する場合は開設者の許可が必要で、地方卸売市場の場合は必要に応じて都道府県知事が規定します。
なお、購入者のことを「買出人」と言います。「買出人」は卸売市場に来場し、仲卸業者から物品を購入します。「買出人」は小売店や飲食店など様々です。

●売買参加者
仲卸業者と同様、卸売業者からせりや相対取引によって商品を購入(仕入れ)できる業者(小売店や加工業者など)のことです。 仲卸業者との大きな違いは、市場内に店舗を持っていない点です。 中央卸売市場で営業する場合は開設者承認が必要で、地方卸売市場の場合は必要に応じて都道府県知事が規定します。

市場へ出荷された農産物は、このような流れを経て、消費者のもとに届きます。

ちなみに、市場の開設者の役割は以下の通りです。
*東京都の中央卸売市場(開設者:東京都)の例を記載。詳細は【インタビュー記事】をご覧ください。

・市場に入っている卸売業者や仲卸業者等へ家賃の徴収・管理
・建物の修繕や電気の補修といった施設管理
・セリが公正に行われているか、掲示物に問題がないか、等のチェック
・市場の魅力をPR、など

農業や食に関わる公務員の仕事は様々ありますが、市場の担当者もその一人と言えるでしょう。

参考・引用
(※1)「平成30年度 卸売市場データ集」(令和元年8月 農林水産省)
(※2)「卸売市場をめぐる情勢について」(令和元年8月 農林水産省)
(※3)「市場の役割と機能」(東京都中央卸売市場)
・「卸売市場ってどんなところ?」(農林水産省)
・「卸売りの仕事とは」(築地魚市場株式会社)


農業関連企業・団体インタビュー

実際に働いている方々はどのような仕事をし、どのような想いがあるのでしょうか?
インタビュー記事を読み、ご自身の考えも深めてみましょう!

「市場業務を円滑に進める“縁の下の力持ち”」 東京都中央卸売市場 大田市場

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今回は、市場の仕組みや開設者(東京都)のお仕事について、東京都中央卸売市場大田市場 市場管理課の方にお話を伺いました。 (2016年)

「信頼と義理人情がつくる、農と食の“架け橋”」 東京青果株式会社

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今回は、能力開発課の皆様に、普段の業務内容や仕事への心意気などを伺いました。 (2016年)

「価格決定権を握り、産地を守る! 」 JAにしうわ真穴柑橘共同選果部

「子供の世代、孫の世代まで、良い販売ができる基礎を作りたい」。 そう語るのは、JAにしうわ真穴柑橘共同選果部会 共選長の渡邊勇夫さん。今回は産地側が取り組む流通・販売について、共選長の渡邊さん、副共選長の大下さん・井上さん、事務所長の緒方さんにお話を伺いました。 (2016年)

「花き流通について」 大田市場 花き部

全国の中央卸売市場にある花き市場19ヶ所(平成26年3月現在)のうち、取扱量日本一を誇る大田市場。
「8割が市場を通る」と言われている花卉は、どのような工程を経て私たちの手に届いているのでしょうか。 (2014年)


※記載情報は取材当時のものです。
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