農業と音楽は一生もの!
高橋農園 代表 高橋雄介
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」37号/2016年冬号より転載)
プロフィール
氏名: 高橋 雄介(37)
出身: 埼玉県本庄市
略歴: 高校卒業後、スタイリストになる夢を叶えるためにアパレル業界へ進出。夢を達成後、ミュージシャンへ転身。その後、家業へ入り、農業の道へ。現在、「農家兼業ミュージシャン」として農業経営と音楽活動の両方に力を注いでいる。
農業と音楽は一生もの!
―就農のきっかけを教えてください!
農家のせがれに生まれましたが、小さい頃は農業が嫌いで「農家には絶対ならない!」と思っていました。いろいろあって家業に入ったのは20代半ばなので、もう10年以上前ですね。
―今は「農家兼業ミュージシャン」としても活躍されていますが、もともと音楽やミュージシャンに興味があったのですか?
そうです。もっと言うと、小学生の頃から「ファッションスタイリストになること」と、「憧れのスタイリストと一緒に仕事をすること」が夢でした。が、ありがたいことに、その両方が 20歳前後で叶いました。叶ったら叶ったで燃え尽きてしまって…その時に「次の夢も叶うだろう!」と考えて、もう一つの憧れだった「ミュージシャン」を目指しました。当時はギターも一切弾けず(笑)、ボイストレーニングにも通っていたのですが、勉強すればするほど音楽は奥が深いことに気付いて、勉強と創作活動とバイトを2~3年続けていたのですが、あまりうまくいかなくて…そこで、「実家で働きながら創作活動をしよう」と思い、東京から実家へ戻りました。
―ということは、「農業しよう」というより、「ミュージシャンで成功するためのステップ」としてご実家へ戻られたのですか?
最初はそういう感じでしたね。親にもそう伝えていました。ただ、実際に農業を手伝うにつれて、だんだん楽しくなってきたんですよね。特に7年程前に、父が「これからは珍しいものを作って高く売る方が儲かる時代になるんじゃないか」といって、珍しい品種のミニトマトを生産し始めました。それを見て「じゃあ、それをネットショップで販売してみよう!」と思い直販を始めました。その頃から、父は生産メインに、僕は営業や経理をメインに、という風に分業していきました。今ではそのミニトマトは主力品目になっていますよ。
―経営規模はどれくらいですか?
ミニトマトがハウスで3反5畝、夏場のナスが2反、深谷ネギが1町5反、コメとムギが3町ずつ、春のキュウリが1反です。
人員は、僕に続いて家業へ就農した妹2人と社員・パートを合わせて8人。この人数で、生産から出荷・販売までしています。周年雇用なので、常に売り上げを出せるように栽培計画を立てています。
―農業のこだわりを教えてください。
父の代から「量より質を求める」が基本的なスタイルで、美味しいものを作ることを 一番大事にしています。ただ、僕はまだまだ生産技術がなくて…生産を学ぼうと思った矢先に父が他界しまして。今は妹とスタッフがメインで生産しています。僕も現場に出たいのですが、書類作成などのデスクワークや営業で外に出ることも多いので、なかなか生産に携われなくて…ちょっと不満です!
―今は農業が大好きなんですね!今後はどのように農業と音楽に向き合いたいですか?
農業と音楽、両方とも研ぎすましていきたいですね。そして、僕がつくる野菜や音楽で 一人でも多くの人に感動してもらいたいと思っています。
―最後に、学生に一言お願いします!
僕はこれまで選択に迫られたら、「後悔しない道はどっちだろう」と考え選んできました。その時はもちろん悩みます。本当に悩みます。が、悩んでいるだけで行動しなかったら、何も進みませんよね?例えば、目の前に大きな山があるとして、「登れるかな、うーん」と悩んでいても頂上には到達できませんし、登れるかどうかは実際に登ってみないと分かりませんよね。同じように、やりたいことは出来る時にやる方がいいと思います。決断は大胆に!それで大失敗したとしても、後悔しないと思います。そういう道を選んでほしいですね。
一問一答
Q 趣味は?
A 山登りです。悩んだときに山に登ると「なんてちっぽけで、どうでもいい話なんだろう」と思えて、気分もリセットされます。アパレル系からミュージシャンに転身する時も、山に登って答えを出しました。
Q 座右の銘は?
A ないです!(笑)
Q 好きな農機具は?
A トラクターです。といっても、耕すよりも、道路を走る方が好きです(笑)
Q 好きな農作業の瞬間は?
A ニンジンを抜くとき。すぽっ、て抜けるのがめちゃくちゃ気持ちいいですね!食べるのは…あまり好きではないのですが(苦笑)
Q 好きな異性のタイプは?
A 好きなことに正直に頑張って自立している女性が、僕には合うのかな~と思います。
Q 農業と音楽を通じて伝えたいことは?
A 「もっと正直に、素直に生きた方がいいんじゃないのかな」ということですね。野菜づくりも音楽も、ウソや建前は全く通用しません。つくる側は自然と素直になるというか、ならざるを得ないですし、それを食べる人も触れる人も、シンプルに生きた方が楽なんじゃないのかな、と思います。
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