「人情あふれる新規就農者育成」
有限会社あずま産直ねっと
新規就農者の育成に積極的に取り組んでいる有限会社あずま産直ねっと。
経営規模は露地約25ha、ハウス2.5haで、30品目以上の野菜を周年栽培しています。
「仕事の原動力はやっぱり農業が好きってこと」と語る代表取締役社長 松村久子さんにお話を伺いました。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」37号/2016年冬号より転載)
人情あふれる新規就農者育成
△スタッフの皆さんと松村久子社長(前列中央)。夫の松村昭寿社長(後列左から2番目)と共同代表。
(写真は松村社長よりご提供いただきました)
―新規就農希望者の独立支援を始めたきっかけを教えてください。
きっかけは約13年前の出来事です。縁があって夫の知り合いの若い男の子をインターンで受け入れたのですが、その子がすごく熱心で「こんな風に農業に向き合う若い子がいるんだ」と感心しました。彼は独立での新規就農を目指し当社でインターンをして、本当に新規就農しました。その彼がとても良い子だったこともあり、その後も研修生を受け入れています。
―なぜ独立支援をされているのですか?
はじめの研修生が独立志望だったこともあり、「研修生は独立するものだ」と思ったことが大きいですね。加えて、独立思考が強い人ほどモチベーションが高い人が多く、技術や経験を吸収しようと一生懸命になる点も採用の時に魅かれるポイントだと思います。また、夫が若い頃は教師を目指していたこともあり「人を育てたい」という想いもあったのかなと思います。
―研修生を育てる上で、どのような工夫をされていますか?
どんな仕事でもできるように、土づくり、種まき、育苗、管理、収穫、荷造りと全ての作業に関わってもらっています。
当社では安全でうまい野菜を届けるために、農薬の使用を極力控えて、健康な土づくりをしています。「群馬県特別栽培農産物認証」も受けていますよ。販路は、こだわり農産物の流通企業や外食産業、スーパー、生協、学校給食など、全て独自ルートです。経営規模は違っても、農家になった時は生産から販売まで全部できなくてはなりませんから、研修中に農業の全ての流れを経験してもらいたいと思っています。農業機械も扱いながら使い方を覚えてもらいます。たまに壊されることもありますが(笑)。
―様々なことが学べそうですね!研修後、実際に独立を希望される方には、どのような支援をされていますか?
「決まった形式ではなく、それぞれの研修生にあわせて出来る限りのことをしています。新規就農の際に最も大切であり、かつ、難しいのは、農地と販路の確保です。当社では出来る限りその支援もしています。例えば、当社の近くで就農するなら、当社の農地を貸したり、土地を借りるのを手伝ったり、当社ルートで販売することも可能です。場合によっては、使わなくなった機械やハウスの部品を無償や格安で渡すこともあります。ただ、研修生の独立先は北海道から九州まで幅広く、全員に手厚い支援をするのは厳しいので、やはりそれまでの研修でしっかり育てることが大切ですね。
―独立就農を目指す方には、どのような心構えで研修に臨んでほしいですか?
「自分で食料を作って生活していくんだ!」という強い気持ちで臨んでほしいですね。やはり、「憧れだけ」で農業を目指す方や「現実逃避したい」という方には厳しい仕事だと思います。作目にもよりますが、当社のように周年栽培をしていると少人数経営では休みを取るのは難しいですし、自分が野菜のリズムに合わせる必要がありますから。
ただ、そのあたりも経験してみないと分からないと思うので、まずは農業体験をしてみてください。当社では1週間の短期研修から1年以上の長期研修まで様々な形態で受け入れています。短期・長期を合わせると年間100名くらいは受入れています。学生さんもけっこうきますよ。夏休みなど長期休暇を使って体験するのも一つの手だと思います。
―最後に、学生にメッセージをお願いします!
農業は、難しいけど、やりがいのある仕事です。また、気象に左右される仕事でもあり、生き物相手でもあるので、もし初年度がダメだったとしても、長い目でみてチャレンジを続けてほしいですね。
会社概要
【社 名】 有限会社あずま産直ねっと
【事業内容】 野菜の栽培、加工、販売
【所 在 地】 群馬県伊勢崎市田部井町
【サ イ ト】 http://www.azuma-sun.co.jp/
【沿 革】 「農事組合法人あずま産直会」を経て、2003年に「有限会社あずま産直ねっと」を設立。野菜を周年栽培し、独自のルートで販売している。研修生の受け入れにも積極的で、多数の新規就農者を輩出している。
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