市場業務を円滑に進める“縁の下の力持ち”
東京都中央卸売市場 大田市場(東京都大田区)

日本一の規模を誇る大田市場。
大田市場では29名の東京都職員が市場業務を円滑に進めるため日々働いています。
今回は、市場の仕組みや開設者(東京都)のお仕事について、東京都中央卸売市場大田市場 市場管理課 菅原さん(写真左)と相原さん(写真右)に伺いました。

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

市場業務を円滑に進める“縁の下の力持ち”

―大田市場を管理しているのは東京都の職員さんだとお聞きました。
 そうです。市場は大きく分けて、農林水産省の許可を受け地方公共団体が開設・運営する「中央卸売市場」と、都道府県の許可を受け地方公共団体や民間企業等が開設・運営する「地方卸売市場」に分かれます。ここ大田市場は「中央卸売市場」に分類され、東京都が建物をつくり、日々の運営・管理を東京都職員が行っています。

―具体的な仕事内容を教えてください。
 担当によって異なりますが、例えば、当市場に入っている卸売業者さんや仲卸業者さん等から家賃の徴収・管理をする担当、市場の魅力をPRする担当、建物の修繕や電気の補修といった施設管理の担当などがいます。また、実際に市場で行われる取引(生鮮食料品の荷受け、セリ等)は卸売業者さんや仲卸業者さんがされていますが、セリが公正に行われているかや掲示物に問題がないか等をチェックする担当もいます。
 出勤時間は、8時半や9時の者もいれば、青果部の早朝巡回の際は6時半など、数パターンあります。
 東京都には現在11カ所の中央卸売市場がありますが、各市場に東京都職員が配属されています。市場によって野菜・果物・食肉・魚・花きなど様々な生鮮食料品を取り扱っています。市場流通は青果・水産物で約6~7割程度を占めており、都民の食に関わる大事な仕事ですので、それに携われることは嬉しいですね!

―どのような点に仕事のやりがいや楽しさを感じていますか?
 日本一の市場ということもあり外国からの視察団も多いのですが、「日本一の場所で働いている」と実感できる点もやりがいになりますし、季節によって取引される農産物が変わるので四季を感じることもできます。あと、現場に近い職場という点も楽しいですね。卸売業者さん等と直接会ってお話しすることも多いですよ。

【参考】大田市場内の業者の数(平成28年1月1日現在)


―市場流通のメリットも教えていただけますか?
 一番は、代金決済が早い点です。中央卸売市場では確実な取引の決済を行うべく、即日支払いの原則及び代払制度による確実な代金決済を行っています。一般企業だと翌月払いや翌々月払いが多いので、その差は大きいですね。また、市場では毎日早朝から監視指導が行われているので、農産物の安全性が担保できる点もメリットです。

―課題もありますか?
 ありますね。例えば大田市場なら、施設の老朽化やスペースの狭隘化(きょうあいか)といったハード面等の課題があります。他の市場では、例えば住宅街に近いため騒音問題が起こるなど、立地等によっても課題は異なります。

―一括りに「市場」と言っても様々ですね。ところで、大田市場には一般者向けの見学ルートがあり驚きました。
 見学ルートが整備されている市場は珍しいですね。ただ、「市場は安全な農産物が届けられる大切な場所だよ」と周知するため、広報担当や各市場では様々な取組みをしています。例えば当市場では、2年毎に「大田市場まつり」を開催しています。普段は一般の方が来られても見学以外はできないのですが、その日は野菜や魚を直接販売したり、マグロの解体ショーなど様々な催し物をしたり、パネル等で市場の魅力をPRしていますので、ぜひお越しください!

―最後に、学生に一言お願いします!
 農業を支える仕事は色々ありますが、管轄元の農林水産省や開設者の東京都、実際に取引を行う卸業者さんなど、市場に関わる企業・団体等もその一員だと思います。将来、農業を支える仕事をしたいと考えている学生さんは、市場の仕事にも目を向けていただけると嬉しいですね!

公式サイト

・東京都中央卸売市場 大田市場 ⇒ http://www.shijou.metro.tokyo.jp/info/03/


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