「農業で故郷を守る!」
ひらくの里ファーム 代表 青木拓也


(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」34号/2016年春号より転載)

プロフィール

氏名: 青木 拓也(26)
出身: 新潟県南魚沼市
略歴: 東京農業大学 国際農業開発学科を卒業後、稲作農家で2年間農業研修をした後、祖父の農地を継承し就農。「ひらくの里ファーム」という屋号を付け、農業経営を開始。この4月で3年目を迎える若手農業経営者。

農業で故郷を守る!

―就農のきかっけは?
 最初は、大学時代に行った海外での影響が大きいですね。高校生の頃「農業関係の仕事に就きたい。青年海外協力隊に行きたい」と思い、それらが学べる大学・学科へ進学しました。
 大学生になり実際に海外へも行ったのですが、「日本の農業はどうなってるんだ」と聞かれたとき全く答えられませんでした。その時、「もっと日本農業を知らなくては」と思いました。それから、北海道から沖縄まで様々な農家さんのところへ実習へ行かせてもらったのですが、実習先の中には非農家で新規就農をされている若い人もいらっしゃり、そういう方々の影響を受けて「自分で農業をやっていくのも面白い道だな」と思うようになりました。それに、今でも「国際協力をしたい」という気持ちはありますが、「自分の生まれ育った地域を守りたい」という想いも生まれ、この地で就農することにしました。

―家業を継承する形での就農ですか?
 両親はサラリーマンで、祖父母が農業をしています。ですので、祖父から継承した形です。作物はお米と野菜、それと、わら細工をしています。

―わら細工、ですか?
 そうです。祖父がわら細工の名手で、しめ縄や米俵などを作っています。わら細工も少しずつ学んでいるところです。 わら細工に使う稲も作っていますよ。青刈りといって、穂が出る前に刈り、乾燥させて貯蔵して冬場に使います。用途によって、柔らかいもの、固いもの、丈が長いものなど使い分けるので、うちでは3品種を作っています。

―まさに技術の継承ですね!お祖父さんの農業を継承してもうすぐ3年になりますが、就農してみていかがですか?
 やはり農業は気象条件によって左右されやすいので、その点は大変ですね。毎年安定した品質をお客様に提供するのは、すごく難しいことだと実感しました。その反面、そういう時にこそ農家の実力が出るので、そこはけっこう面白いですね。

―生産面でこだわっている点は?
 一番は土です。「土壌分析」は必ず行います。同じ地域でも圃場によって条件が違いますし、特に借りている農地は、今まで作っていた人が入れた肥料がどのくらい土壌に蓄積されているのか分からないので、まずはそれを把握することが重要です。そうしないと施肥設計もできないので。それに加え、生育ステージごとに葉齢のチェックや葉の色を測定する「生育診断」と、収穫後に収量や品質をチェックする「収穫調査」も行います。

 昔の人はこれらを経験と勘で調整していましたが、僕には分からないですし、客観的な数値も活用したいと思っています。あと、勉強会やセミナーにも積極的に参加したり、先輩農家や普及センターの方の意見も聞きながら、自分の農業経営に適する方法を学んでいるところです。僕はこれまで地域に育ててもらったので、これからは知識や経験を活かし地域に還していきたいと思います。

―地域愛が強いですね!今後の展望は?
 地域も高齢化してきているので、田んぼや土地を守っていきたいと思っています。そのためには協力者が必要です。実は去年、地域の若手2人と一緒に遊休農地を対象に蕎麦やひまわりを植えました。そういう取組みから少しずつ地域の人も巻き込んで「地域づくり」にも繋げていきたいと思っています。
 それと、僕は地域の担い手としても期待されているので、応えていきたいと思っています。農地も就農当初の2haから6.2 haに増えますし、これからますます増えると思います。自分の生まれ育った地域を引き継ぎながら、農業経営も強くしていきたいと思います。

ちょっと気になる一問一答

Q 趣味は?
A ランニングや登山。冬はスキーやスノボもします。頭を切り替えるために、意識的に農作業をしない時間を作るようにしています。その時も頭は動いているのですが(笑)、仲間と趣味の時間を楽しんだり、研修へ行ったりすることで、今までと違った視点からアイディアが浮かぶこともあります。一人でやっていても限界がありますしね。

Q 好きな農機具は?
A トラクター。色んな作業機を付けられて汎用性が高いので。特にハローが好きですね。ハローは代掻きに使う作業機ですが、代掻きは奥が深く、難しい作業です。今はまだ全然ダメですね(汗)。

Q 好きな女性のタイプは?
A 食べることにこだわりがある人。毎日は難しいと思いますが、その時々でちゃんと理解して味わって食べることができる人。それには農家や料理を作ってくれる人への理解も含まれます。「知る」という意味の「知産知消」ができる人が良いですね。

Q 「ひらくの里ファーム」の由来は?
A 自分の名前が「拓也」で、「ふるさとの未来を切り拓いていきたい」という想いから付けました。

リンク

 ひらくの里ファーム
⇒ https://www.hirakunosatofarm.com/


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