担い手農家を支援!農業コーディネートチーム「TAC!!」

近年、様々な購買・販売ルートが発達し、ユニークな経営体が増えてきた農業界。時代と共に、農業者とJAとの付き合い方も変わってきているようです。今後、JAグループはどうあるべきなのか。様々な取組みがある中で、今回はJAグループで進めている担い手支援について、JA全農 営農販売企画部 TAC推進課 伊東悠太郎さんにお話を伺いました。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」31号/2015年夏号より転載)

TAC とは

5年後、10年後、もっと先の地域農業を担っていく農業経営者、つまり「地域農業の担い手」に日々出向き、その「担い手」の声・要望を収集し、JA内部で施策を立案し、担い手へ提案をします。その結果、担い手の農業経営が改善し、JAグループの事業拡大を目指します。そういった活動を行うJA担当者が“TAC”です。

1.TACの役割

①地域農業の担い手に訪問してご意見・ご要望をうかがい、誠実にお応えします。
②地域農業の担い手の経営に役立つ各種情報をお届けします。
③地域農業の担い手のご意見を持ち帰り、JAグループの業務改善につなげます。

2.TACの由来・意味

平成20年4月、一般公募により「地域農業の担い手に出向くJA担当者」の愛称を単協・連合会が一体(チーム)となって地域農業をコーディネートするという意味を持つ「Team for Agricultural Coordination」の頭文字をとって「TAC」と決定しました。

3.ロゴマーク


左側が地域農業の担い手とJA担当者であるTACが対話・相談しているシーンをイメージし、そうした対話を起点として生まれる課題解決やヒラメキを右側のエクスクラメーションマーク“!”で表現しました。

4.キャッチコピー


※TACという言葉にさらになじんでもらうために提唱しています。


担い手農家を支援!農業コーディネートチーム「TAC!!」

―なぜ担い手支援をされているのですか?
 現在、日本の農業は高齢化が進み、農家数は年々減少しています。その一方、機械や農地は担い手に集約され、大規模農家が増加している現状があります。JAグループでは、そうした今後の地域農業の担い手の方々のご意見・ご要望に応えていくことが、地域農業の活性化に結び付くと考えています。そのために、その声をしっかりと聴く仕組みを作り、その声に基づいた施策立案や提案をしていこうと平成20年にTACを立ち上げました。

―TACについて詳しく教えてください。
 TACは、「地域農業の担い手に出向くJA担当者」の愛称であり、JAの様々な部署(営農指導や肥料農薬、農機担当者等)と担い手をつなぐ窓口です。全国約1800人のTACが、年間約10万経営体の担い手を訪問し、約77万回の面談を行っています。担い手が目指す経営ビジョンや抱えている課題、JAに対する要望等をお聞聴きし、解決していくための提案をします。
 例えば、「水田で野菜を作って、園芸複合化に取り組みたい」という担い手には、その経営体の経営規模やその地域の土地に応じた作物の提案を、「任意組織である集落営農を法人化し、経営意識を持って取り組んでいきたい」という担い手には、経営管理支援や法人化に必要な書類のフォローを、「収穫時期に人手が足りなくて困っているんだよ」という担い手には、労働力支援のための仕組みを作ったりと、全国各地で多様な取り組みを行っています。

―これらの取り組みは、担い手農家さんからも評価されているのでしょうか?
 JAとの付き合いが長い農家さんほど、JAグループの活動に良い評価をいただいているというアンケート結果もあります。信頼関係を構築することで、JAの存在意義やJAが持つ良い機能、メリット、努力などが、ようやく伝わるのだと思います。今後は、JAグループと接点の少ない若手農業者に対するアプローチや支援も積極的に取り組みたいと考えています。
 全国のTACは、担い手農家の最前線で日々奮闘されています。足繁く担い手農家の作業場や圃場に通い、腹を割って本当に色々な議論をされています。このTACの活動は地道な訪問の積み重ねです。この活動をもっともっと定着させ、認知してもらい、JAグループが担い手農家と協力しながら日本の農業を現場で支えていることを発信していきたいと思います。


※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。