(有)穂海農耕/(株)穂海 丸田 洋


新規就農から10年。今では稲作のみで100ha以上もの規模を誇る有限会社穂海農耕。
今回は、代表取締役 丸田洋さんにお話を伺いました。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」31号/2015年夏号より転載)

無知からの新規就農。視野を広く、チャンスを掴む。

―御社の概要を教えてください。
 当社は、水稲栽培を基盤とした有限会社穂海農耕と、米穀の集荷・販売等を基盤とした株式会社穂海の2社で構成されています。規模拡大に伴うリスク分散のために4年前に分社化しました。
 社内構造は一般的な会社とほぼ変わりません。社長である私がいて、取締役兼生産部長が1名、生産部隊が7名、そのほか事務職員等が数名います。それぞれ役割が違い、私はCEO兼CFOとして資金調達や生産調整業務、行政との調整業務等を行います。生産現場については、COOである生産部長が年間の生産計画を立て、現場への指示等を行います。それを受け生産部隊は、主任を中心に自ら段取りを組み動いていきます。
 現在当社は少人数の会社ですが、将来は数百ha規模を目指していますし、社員数も増やしていく予定です。そうなった場合、この構造は、社員教育を行う上でも、会社を円滑に回す上でも、大変重要になってきます。ただ、このような構造を持つ農業法人は、全体ではまだまだ少ないと感じています。

―御社の特徴の1つとも言えますね。他にも、初期の頃のJGAP認証を受けられていたり、大手商社等とお取引をされていたり、新規就農者とは思えない発展を遂げられていますよね。
 就農当時は本当に無知でしたよ。その分、何のしがらみもなかったことがプラスに働いたのかもしれません。
 例えばJGAPは、「マネジメントを学びたい」と思っていた時に、たまたまやって来た営業マンに勧められて受講したのが始まりです。結果的に、それがプラスに働きました。実は就農当時、「米は作ったら売れるもんだろう」くらいに思っていましたが(笑)、全く売れず在庫を抱えて青ざめていました。そんな時、JGAP関係者の方に大手卸さんや商社さんをご紹介いただき、一気に販路が広がりました。卸の方には商売のイロハも教えていただき、本当に感謝しています。

―ところで、吉野家さんのサイトにも丸田さんのインタビューが掲載されていますが、お取引があるのですか?
 はい。この取引は会社にとって大きなターニングポイントになりました。吉野家さんとの出会いは約6年前の3月、ある大きな商談会で「『みつひかり』を作ってほしい」と言われた事から始まります。話を聞くと2haは必要な規模で、その時すでに翌年の作付計画は出来ていたのですが、その場で生産部長に電話して調整して、種も発注して、商談を始めて約20分で全てが決まりました(笑)。
 また、この「みつひかり」は超晩生なので、中生で生産量の多いコシヒカリと作期が異なります。作期が異なると、面積を拡大しても、同じ機械や人数で作業ができます。つまり、大きな投資をせずとも生産規模を拡大することができ、結果として利益も上げやすくなります。このことに気付き、極早生・早生・中生・晩生・超晩生と作期分散に取り組み始めたことで、規模はより拡大しました。

―とはいえ、規模拡大に資金は必要ですよね。どうされているのですか?
 新潟県の第一地銀である第四銀行さんや政策金融公庫さんから融資を受けています。第一地銀はハードルが高いですよ。しっかりした事業契約書やキャッシュフロー計算書、今後の指針、等が求められ、地域の現状や展望なども説明できないと借りられません。その分、第一地銀との取引はステータスにもなりますし、資料作成等を通し事業全体を見直す良い機会にもなります。

―最後に、学生へ一言お願いします!
 農業は将来性のある産業です。食は国の根底を担っているので無くなることはないですし、その行為そのものが社会貢献になっていると言っても過言ではないかもしれません。また、世界的には人口も増え、需要も大きくなるでしょう。その分、異業種との関わりも増え、一人で知らなければいけない事や、やらなければいけない範疇がすごく大きくなると思いますし、高い能力も求められると思います。特に農業は村社会の考え方が根本にあるので、人としての能力そのものが問われるシチュエーションも多くあります。ただ、「初任給が何十万円」というような事ことは基本ないので、しばらくは我慢をしなければならない時期もあると思いますが、給与額以上に、やりがいがあり面白みのある産業だと思います。

会社概要

名称 (有) 穂海農耕 (株) 穂海
事業内容 水稲の栽培
作業受託業務
米穀の集荷・販売/青果物の集荷・販売/作業受委託業務/米穀の農産物検査/農場運営コンサルティング
所在地 〒944-0105 新潟県上越市板倉区田屋104番地2

会社情報

 


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