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大田市場 花き部

全国の中央卸売市場にある花き市場19ヶ所(平成26年3月現在)のうち、取扱量日本一を誇る大田市場。 「8割が市場を通る」と言われている花卉は、どのような工程を経て私たちの手に届いているのでしょうか。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」26号(2014年春号)より転載)

インタビュー(取材:2014年2月)

中央卸売市場 大田市場 業務課 花き係 佐藤さんにお話を伺いました。

―花の流通の特徴を教えてください。
 花は他の農産物と比べ、市場経由率が一番高いことが大きな特徴です。約8割が市場を通っていると言われています。花卉農家さんの多くは小ロット多品目で生産されているため、それらが集まる市場には多くの品種や種類があり、買い手にとっては一度に色んな花を手に入れられる、とても便利な場所になっています。

―売買では、どのような過程を経ますか?
 大きく「せり売」と「せり以外の取引」の2つの方法があり、大田市場花き部では現在、2対8の割合で売買されています。
 「せり以外の取引」のほとんどを占める「相対取引」では、売り手と買い手が交渉し、価格や数量等を決めます。
 2割を占める「せり売」では、全国から搬入された花が「せり」にかけられ売買されます。「せり場」には、売り手である卸売業者(せり人)と、買い手である仲卸業者と売買参加者が集まり、一番高い値段を付けた買い手が品物を買い取ります。ここで付いた値段が「相場」と言われています。

 また、大田市場では「せり下げ方式」と言って、せり人が設定した適正な価格から金額を下げていく方法をとっています。せり場の前方にある「せり時計」には、せり人が設定した販売価格や商品名、生産者名、数量などが表示されます。その下ではせり人が商品見本である花を掲げながら花をアピールします。買い手はそれらを見て購入の有無や購入金額を判断し、テーブルに設置されているボタンを押して競り落としていきます。種類と量が多い花は、「機械せり」と「せり下げ方式」の導入によって取引時間が短縮されました。
(写真:場内に展示されている「日本最初の花き機械セリシステム」)

 なお、市場は生産者、経済連、卸、仲卸、小売業者へと繋がる流通の中心的役割を担っており、卸売市場法に則り、許可を得た方のみ売買に参加できます。せりでは開設者である東京都の許可または承認を受けた方のみ、市場内の仲卸店舗や関連事業者の店舗では、これらの方々に加えて、業界団体から「買出人章」を取得した方のみが購入することができます。一般の方は市場で購入することができないので、お花屋さんで購入いただきます。このように、流通過程での役割分担があることも、市場流通の特徴です。

―流通上の課題はありますか?
 花だけでなく、中央市場全体の課題はコールドチェーンです。コールドチェーンとは、生産者から消費者に届くまでの流通の過程を、冷凍・冷蔵によって低温を保つことにより、生産物の品質劣化を防ぐ方法です。大田市場では地下に定温倉庫を構えてあり、品質劣化を防いでいます。

―一年を通して需要の変化はありますか?
 はい、あります。大田市場では、一番入荷が多い月は12月で、取扱高は約60億円です。12月はクリスマスもあり、お正月も控えているので、需要が最も増える時期です。お正月前には松や千両など、日本独特で欠かせない物が大量に入ってきます。2位は、お彼岸、卒業式、入学式、入社式、歓送迎会等がある3月で、約53億円。3位は「母の日」がある5月で、約51億円。このように季節のイベントにより大きく変動します。

 逆に一番少ないのは1月で、28億円。12月と比べると約32億円の差があります。年間を通して需要が少ない1月~2月ですが、業界ではこの需要の波をフラットにしていこうと、様々な取り組みをしています。
 例えば、2月のバレンタイン。日本ではチョコレートを贈る慣例がありますが、海外では男性が女性に花を贈る慣例があります。そこで業界としては、「フラワーバレンタイン」を推奨し、2月の需要底上げを目指しています。「2月14日はフラワーバレンタイン」と覚えておいてくださいね。

―販路拡大の方法として輸出もあると思いますが、現状はいかがでしょうか?
 評価はされてきていますが、なかなか増えていないのが現状です。輸出で大きな割合を占めているのは、松や盆栽といった鉢物です。これらは日本独特のもので、外国人の中には収集家もいるほどです。輸出に際しては、検疫をクリアする必要がありますが、特に鉢物では土があるので、十分な対応が必要となっています。
 輸出には様々な課題がありますが、その増加に向けた議論は業界でも国でも行われていますし、海外の品評会に参加している農業者や、賞を取る農業者もいます。そういった地道な活動も、日本の花が評価されるようになった一つの要因だと思います。

―そうなのですね。今後の動きにも注目したいと思います! ありがとうございました。

花の流通経路<大田市場の場合> (取材:2014年2月)

【 搬入 】
花は全国から搬入され、切花(月水金)は午前7時、鉢物(火木土)は午前7時半から始まるせりに向け準備します。



【 (株)大田花きのセリの様子 】
 (株)大田花きの場合、買い手である仲卸業者と売買参加者は、前方の「せり時計」と呼ばれるモニター、座席に設置されたモニター、せり人が掲げる商品見本(花)を見ながら、手元にある端末でお目当ての商品を競り落としていきます。場内には、せり人の威勢のいい声が響きます!
 また、最近は、インターネットを介した在宅せりシステムにより、せり場だけではなく、仕事先や店舗・自宅からも、せりに参加できます。




【 (株)大田花きの自動分荷システム 】



< 参考 >




【 仲卸通り/仲卸業者の店舗 】
 大田市場花き部の仲卸業者は19社。仲卸業者は、卸売業者から買った品物を、市場内にある仲卸店舗で、売買参加者及び買出人(「買出人章」を取得した方で、花屋が多い)に向けて販売しています。それぞれ取扱う花が異なり、店舗ごとに特徴があります。 また、関連事業者の店舗では、鉢や装飾品(リボンなど)を購入することができます。




【 お花屋さんから消費者へ 】


※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。



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