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外国人を深く知る観光農園
~日本の文化を伝える難しさ~

「外国人に日本の文化を知ってもらいたい」
そう話すのは、中込農園 共同代表の中込一正さん(山梨県南アルプス市)。日本人のみならず外国人を対象にした観光農園やファームステイを20年以上前から取組んでいる同園には、年間2,000人以上もの外国人が訪れます。その秘密とは?事業を始めたきっかけやポイント等を伺いました。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」46号/2019年春号より転載)

中込農園 共同代表 中込一正さん

―まず、農園の概要を教えてください。
 当園の栽培面積は4~5haあり、さくらんぼ・桃・プラム・梨・柿・ネクタリン・プルーン・ぶどう・りんごなど様々な果実を栽培しています。共同代表である兄が農業生産と日本人向けの観光農園を担当し、私が広報やWEBサイト等の管理、外国人向けの観光農園およびファームステイを担当しています。

―なぜ外国人を対象にした観光農園やファームステイを始めたのですか?
 私がもともと外国に興味があったことと、英語版のホームページを作成したことが大きなきっかけです。
 観光農園自体は父の代から取組んでいましたが、外国人を対象にしたのは私が家業へ就農してからです。余談ですが、私の前職は高校の英語教師です。20代から30代の頃にはアメリカの大学院に2度留学して修士号を2つ取得しました。現在は、当園の仕事と並行して2つの大学で英語の非常勤講師をしています。
 話を戻すと、就農当時(1996年)はインターネットが普及しはじめた頃でした。当園のホームページは就農して早々に作成しましたが、ある日、JICAの関係で来園したマレーシア人に「日本に来ている外国人観光客向けに英語版のホームページを作ってはどうか」と提案されました。最初はその話にピンとこなかったのですが、何度も連絡が来るものだから作成したんですよ。そしたら早々に反応があり、実際に外国人が観光農園に 入ってくるようになりました。それを機にどんどん広がっていきました。
 今では、観光農園には年間1,000人以上の外国人観光客が来ています。ファームステイには、年間3,000人程の問い合わせがありますが、そこから絞って年間150人程の外国人を受入れています。エリアは共に、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど様々です。


△JETROの外国人向けパンフレットにも載っている

―外国人が増えたことで見えてきた課題はありますか?
 ・・・数えきれないほど沢山ありますよ(笑)。観光農園では、ダメだと言っているのに果物をもいで持ち去るとか、ファームステイでは、宿舎のものが無くなる、茶碗に盛ったご飯に箸を立てる、時には警察から連絡が来るなど、本当に様々な問題が発生しました。なぜそれが起こるのか。それは、「文化の違い」と「国民性の違い」が大きく影響しています。この「文化の違い」と「国民性の違い」から「マナーの違い」が生まれます。日本のマナーは外国のマナーの数倍から数十倍あるので、マナー違反が起こるのは当たり前です。文化もマナーも違う人を受入れるので問題をゼロにすることは難しいのですが、少なくすることはできます。
 例えばファームステイでは、申し込みがあったらスカイプ等で面接をし、こちらの取組みを理解してもらったり、相手の人となりを見て判断します。面接で合格した方には来る前に「マナーブック」を送り事前学習をしてきてもらいます。これらを取り入れたことでマナー違反はぐっと減りました。
 近年はインバウンドに注目する企業や農家も増えましたが、単に「売上を伸ばしたい」「日本人は減っていくから外国人を」ということで取組むのは危険です。文化、国民性、価値観などあらゆるところが違うので、受入は簡単ではありません。私も長い時間をかけて試行錯誤して今に至ります。


△ファームステイ用の宿舎

△宿舎からも畑からも富士山がきれいに見える

―それでも続けてこられた理由は…?
 一つは、外国人を受入れることで自分自身の思考が深まるからです。外国人から教えてもらうことも多く、トラブル以上に得られる人生の糧は本当にたくさんあります。
 また、日本の農産物の魅力を知ってもらいたいと思っています。例えば桃なら、人工授粉をする、摘蕾する、1つ1つの実に袋をかける等の作業をしますが、これだけ丁寧な作業をするのは日本だけです。日本の農産物が安全で品質が高く美味しい理由は、日本人の丁寧さや勤勉さから来ているものだと思います。そうした内容も当園の英語のサイトにしっかり書いていますし、ファームステイに来た外国人たちにもしっかり伝えています。これからも日本文化の深いところを外国人に伝えていきたいですね。

―最後に、学生に一言お願いします!
 農業と異文化交流に興味のある人はぜひお越しください!農業体験はいつでも受け入れています。毎年大学生も来ていますし、英語の勉強にもなりますし、国内外の交流が広がると思いますよ!


△ドイツ、アルゼンチン、香港、シンガポール、上海、そして日本の各地からの皆さん。

公式サイト

 中込農園 http://nakagominouen.com/




※記載情報は取材当時のものです。
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