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「事業承継を考える」
伊東 悠太郎さん

「一刻も早い事業承継を」をテーマに全国で啓発活動をしている伊東悠太郎さん。
富山県の種籾農家に生まれ、全国農業協同組合連合会(JA全農)で働いた後、家業を承継した伊東さんですが、事業承継の重要性を広めるのはご自身の経験も大きく影響しています。今回はご自身の経験も踏まえながら事業承継の際のポイントなどを伺いました。


*伊東 悠太郎さん
水稲種子農家 兼 事業承継士。JA全農では事業承継のきっかけとなるツールとして「事業承継ブック」を作成。現在、多くの農業者に活用されている。また、全国の様々な機関から講演依頼もあり、これまで100回以上の講演・研修会等を実施した。

事業承継を考える

―伊東さんは何をきっかけに事業承継に取り組み始めたのですか?
 一つは前職の経験から、もう一つは自分自身が急に事業承継をすることになった経験からです。
 私が生まれたこの地域は種田地区という名の通り、「種籾発祥の地」と言われており、今でも日本一の産地として有名です。私はこの地で種籾農家の長男として生まれ「いずれは継ぐんだろうな」と思っていましたが、「体育の先生になりたい」と思い教育学部に進学しました。大学を卒業する時に「社会経験がない中で先生になるのも違うな」と思ったことと「大きな企業で力を試したい」と思ったことからJA全農へ就職し、最初の5年間は富山県本部で、その後の4年間は本所(東京都千代田区)で働いていました。

 そこでは主に、地域農業の担い手の元へ出向き、要望を聞き取ったり事業に反映していくという仕事をしていたのですが、全国の農家と話をしていくうちに「世代交代は必要と考えているがバトンパスが上手くできていないパターンが多い」ということに気付きました。それには様々な理由があるのですが、「何をして良いかわからない」、「親と上手くいかない」というパターンも多くあります。

 実は我が家もそうでした。私の場合それが大きく変わったのは、親の体調が悪くなり私がやらなければならない状況になったことです。当時は東京勤務だったので、金曜日の最終新幹線で実家に帰り、土日は農作業をして月曜日の始発で東京へ戻り仕事をし、睡眠時間2~3時間という生活を続けました。
 農作業自体は小さい頃から手伝っていたのでなんとなく分かったのですが、困ったことは、どこに何の道具があるか分からない、通帳の場所が分からない、メンテナンスの方法が分からない、など生産以外で分からないことが多すぎた点です。それをきっかけに親との会話も増えましたが、こうした会話をもっと早くからすることで事業承継は円滑に進むのではないかと実感しました。

―一気に変わるとなると大変そうですね・・・。
 そうですね。やはり親との並走期間は必要だと思います。イメージとしては、リレーのバトンゾーンのように、並走して、タイミングを合わせながらバトンを受け渡して次に繋いでいくことが、とても重要です。
 また、その期間をどこに設定するかも重要です。「親が元気なうちは大丈夫かな…」と思っていると時間ばかり過ぎてしまいますし、実際に就農するというのも簡単ではないので、しっかり話し合って計画を立てていくことはすごく大切です。

―なぜそこまで家業の事業承継にこだわるのですか?
 私が「農家の子供は実家を継ぐ方が良い」と思う理由は、「家業を継ぐのは自分しかいない。代わりがいない」という使命感もありますが、農業をする上では農地も機械も施設もあるので圧倒的にアドバンテージがあり、家業を承継する方が定着率も高いからです。それがひいては地域農業および日本農業の維持・発展に繋がると思うからです。
 ただ、最近少し考えが変わる出来事がありまして…。子供が生まれたときに「跡継ぎができた!」と喜ぶ私に、「なんであなたがこの子の将来を決めるの?!」とある人に言われ、「確かにそうだな…」と思いました。一般論でもありますが、子供が自然と「農業を継ぎたい!」と思えるような仕事をしていくことも、親世代には必要な事です。
 これからはそうした面も含め、農業の事業承継の重要性を広めていきたいと思います。

● 参考

 営農管理システム「Z-GIS」
JA全農時代に開発に携わった営農管理システム「Z-GIS」に親世代の暗黙知を蓄積し、事業承継の一助としている。
【URL】 https://z-gis.net/99/


 事業承継と小さな経営改善
就農して困ったことを解決しながら、「小さなカイゼン」を実践し、SNSでも発信している。
【URL】 https://www.facebook.com/keieikaizen/



※記載情報は取材当時のものです。
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