収穫体験型野菜直売

「お客様に新鮮でおいしい野菜を食べてもらいたい」。
そう語るのは農地保全産業・代表の小久保さん。小久保さんが経営している「収穫体験型野菜直売」では考えられないほどの安さで野菜を販売しています。その秘密とは?今回はこの直売所を始めたきっかけや目標などを伺いました。
【写真】農地保全産業の皆さん(中央:小久保代表/左:赤塚副代表/右:宮島さん)と制作メンバー(両端)



(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」45号/2018年冬号より転載)

「収穫体験型野菜直売」のナゾに迫る!

―小松菜1本5円、春菊1本10円、大根60円…考えられないくらい安いですね!
 安いのには大きく3つの理由があります。1つは、畑から消費者へダイレクトに販売している点。販売といっても一般的な無人直売所とは違い、消費者が畑から直接収穫をして持って帰るスタイルです。お客様は新鮮な野菜を自らの手で収穫する体験ができ、こちらは収穫や袋詰め等の手間が省けるので、そのぶん安くできます。もう1つは、利用する農地は知人(地権者)の好意で無償でお借りしているため、その分の経費がかからないためです。そしてもう1つは、私が開発した「高性能雑草防止シート」によって、栽培に必要な労働力を10分の1に削減できたためです。
 実は最初は野菜を売ろうと思っていたのではなく、このシートを売ろうと思っていました。このシートにはワイヤーが入っていて簡単に設置できます。特許も取りましたよ。この「収穫体験型野菜直売」は、実はこのシートの実証実験の場でもあり、モデルルーム的な意味合いもあるのです。

―そうなんですね、理由が意外すぎて驚きました!なぜシートを開発しようと思ったのですか?
 私は公務員をしていましたが、休日は先祖伝来の畑で菜園をしていました。そこで悩んでいたのが雑草対策です。「何か良い方法はないか」と考えていろいろ試しているうちに、このシート開発にたどり着きました。農作業のうち90%は雑草取りだと言われますが、このシートを使うと雑草取りの99%を削減できます。


 ではなぜ「収穫体験型野菜直売」を始めたのかと言えば、散歩で通りかかった人に「ナスがなったら売ってほしい」と頼まれたときに「仕事があって店番ができないから無人直売にしよう」と思いついたのがきっかけです。このシートを敷いておけば雑草が生えないので、畑の管理も2週間に1回くらいで済みますし、シートの上を歩けるのでお客様が足元を汚すことなく畑に入って収穫できます。収穫用のハサミや袋は入口に設置しているので手ぶらで来てもらって大丈夫です。代金は代金箱に入れてもらいます。皆さんちゃんと支払ってくれていますよ。
 野菜販売は当初は考えていませんでしたが、今ではリピーターの方もいらっしゃったり、感謝のお手紙をいただいたり、嬉しいことも沢山あります!

―そうなのですね!お客様からはどのような感想をいただいていますか?
 例えば、「新鮮な野菜を好みの量だけいただけるのは嬉しい」、「美味しくて家族にも好評です」、「子どもの自然体験に役立っています」など様々ですね。お客様は年配の方からファミリーまで幅広く、シートがあるのでベビーカーや車いすの方も入れます。総じて、自分で収穫する体験ができることに魅力を感じていただけているのかなと思います。

―難しい点もありますか?
 そうですね、野菜が品切れになってしまったときは申し訳なく思います。需給バランスをどうしていくかが課題です。

―今後のビジョンを教えてください!
 いま農園は5ヵ所あるのですが、もっと農園数を増やしたいですね。また、軽作業で済む環境を作り、障害者雇用に寄与できないかと考えています。もちろん、シートも売っていきたいと思います!
 農作業ボランティアも募集中なので、ご興味ある学生さんはお気軽にお越しください!


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