和食給食応援団 <事務局:合同会社五穀豊穣>

可能性は無限大!と言われる食や農業で自分はどんな関わり方ができるのか?もっとたくさんの人に興味を持ってもらうにはどうしたらいいのか?そんな疑問への一つの答えとして、教育分野でも注目されている「食農教育」についての取り組みをご紹介します!
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」43号/2018年夏号より転載)

和食給食応援団

【和食給食応援団とは?】
全国の若手和食料理人による和食給食献立の開発と実演、児童や栄養士それぞれに食育授業を行う。その際、協賛企業の食材を使用し、講演後の発注の確保により企業の協賛も獲得。学校・企業・応援団、三位一体となる仕組みづくりで給食を通して和食文化の継承に取り組む。

給食で農業をつくる!企業と学校をつなぐ新しいかたち

「みんなが共感するビジネスで対価と利益を上げる」。
卸や販売・企画と様々な職種を経験した(同)五穀豊穣 代表 西居さんが行きついたのは、教育として未来の消費者の行動を変えることで日本の農業に貢献するという形でした。


西居 豊さん
合同会社五穀豊穣 代表
1982年大阪府生まれ。2014年「和食給食応援団」を設立。食材に関わる全ての人を想像できるような人に育ってほしいと国内外問わず奔走している。


―「和食給食応援団」を始めたきっかけを教えてください。
 きっかけは小学校でお米の授業をした時に洋食ばかりの給食の献立に驚き、「これを和食にできたらもっと日本の農業にプラスになるんじゃないか」と思ったことです。それが2011年の出来事で、それから3年間、色んな小学校へ行き和食を作って子供に食べてもらう食育授業をボランティアでしていたのですが、2013年に和食が無形文化遺産に登録されたことを受け、2014年3月に日本料理の若手旗手とともに「和食給食応援団」を結成しました。農林水産省の事業で、学校給食に和食を増やす取組を行い、2017年度からは和食材メーカーや農業団体と共に活動を進めています。

―「日本の農業にプラスになる」ことが当初の目的だったのですか?
 そうです。今もそれは変わっていません。私が当社(合同会社五穀豊穣)を創業したのは2009年で、創業理念は「農林水産業を儲かる産業にすることによって地方に生きれる人たちを一人でも多くつくる」こと。当時も今も、それに繋がらない事業はしない方針で進めています。
 そのなかで「和食給食応援団」で目指しているのは、日本中の学校給食で国産のものを使ってもらえる仕組みづくりや、日本の田畑のものを食べる習慣づくり。教育の成果が出るのは10年から20年かかると言われているので子供のときから和食や農業生産に親しむための教育は重要だと考えています。ただ、先生や栄養士さんは、その専門分野ではプロですが、食の文化や農業的なことを知らない方も多いので、そこを我々がどんどんお伝えしていきたいと思っています。

―子供たちの反応はいかがでしょうか?
 とてもいいですよ。やはり都市部の子だと田畑になっているお米や野菜を見たことがない場合も多いので、畑で採ったままの状態を持っていき触れてもらうこともあります。それが印象に残り「農地に行ってみたい」という気持ちを醸成させるきっかけにもなっているようです。
 今年度のテーマは「生産者とつくる和食給食」。そこで毎回生産者の方にも同席していただいていますが、「うちの畑に来てもいいよ」と仰る方もたくさんいらっしゃり、実際に「講義を受けた子から電話があり畑に来たよ」という話も聞きます。ただ思った以上に連絡が来るそうで、「連絡口をまとめて同じ日に来てほしい」とも言われているくらいです。

―それはすごいですね…!農業の関わり方は本当に様々だと思いました。最後に、農業や食を通し活動したいと考えている学生たちにメッセージをお願いします!
 「農業の分野でいかにお金を稼ぐか」を考えてほしいですね。農業に一番足らないのはその部分だと思います。「お金を稼ぐ」は、言い換えると「この喜びに対し誰がいくら払えるか」という視点を持つことであり、頑張った自分への成績表でもあります。「体験できて良かった」で終わらず、「この取組みをいかに事業にできるか」まで考えてほしい。リスク無き学生時代だからこそチャレンジし、新たな事業を生み出す人が多く出てくることを期待します。

公式サイト

 和食給食応援団 ⇒ http://washoku-kyushoku.or.jp/


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