「食べる」は「命をいただく」こと
菅田 悠介 (慶應義塾大学 環境情報学部 3年)

食料廃棄問題と狩猟に興味をもつ大学生・菅田さんにお話を伺いました!

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」39号/2017年夏号より転載)

―菅田さんのブログで、飼っている鶏を解体している様子を見ました。
 「食べ物は命だった」っていう感覚を伝えたくて。鶏が肉になる過程を知ってほしいんです。たしかに解体の様子を写真で見ると「グロい」ってなるんですけど、目の前でさばくと別の感情が生まれるんですよ。
 いま、大学の近くに畑をお借りしています。そこに鶏小屋も作って、9羽飼ってます。その鶏をさばいて食べるイベントもしています。ネットで見る情報だけで判断しないで、実際に触れて、食べることについて考えてほしいんです。


(左)約1反の畑を耕している / (右)手作りの鶏小屋

―こうした活動を始めたきっかけは?
 大学1年の夏休みに、高校時代から興味を持っていた福岡の猟師さんの元に訪れ、鴨をさばく体験をしたんです。その時の衝撃がすごい大きくて。「その命を自分のものにさせてもらう行為が食べることなんだ」って感じました。それから一切食べ残しもしなくなったんです。「この感覚をほかの人にも伝えたい!」そう思ったのがきっかけです。

―いま、手にコーラをお持ちですが、普段はジャンクなものも食べるのですか?
 食生活は特にみんなと変わらないですよ!普通にファストフードとかも食べますし、いわゆる「どんなお肉かわからない」お肉も買って食べてます。でも、「このお肉は、どこで育って、どうやって解体されたんだろう?」っていう過程は、絶対に考えます。考えて、「いただきます」ってしっかり言って、食べる。どんなお肉でも、命の重さは同じなので。食べることをすごい意識してるから、食べ残すって概念はなくなりましたね。


(左)菅田君が獲ったイノシシ(狩猟免許あり)/(右)ふいに渡されたイノシシの頭蓋骨にビックリ!

―いま大学3年生ですが、将来はどんな仕事に就きたいと考えていますか?
 理想は、今の活動をみんなに必要だと思ってもらい、それが仕事になるという形ですが、今の活動からどうやって利益を追求していいかわからなくて…そのあたりは、いま大学の授業で学んでいます。たとえそれが難しくても、食料廃棄の分野に関わりたい、というのは決めています。

―今後の展開を教えてください!
 僕がいつも大事にしているのは、「常識を疑う、当たり前を疑う」こと。どんな問題であっても、実際に自分でやってみて、とにかく考えることが第一歩になると思うんです。今の活動も「教える」というよりは、「知るキッカケを生み出したい!」と思っています。

リンク

 遠藤部族日記
 ⇒ http://tayusuga.hatenadiary.jp/


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