稲作×ソーラーシェアリング
(農)木津みずほ生産組合 代表理事 坪谷利之さん

農業の新しい形のひとつ「ソーラーシェアリング」。
今回は、実際に導入されている(農)木津みずほ生産組合 代表理事 坪谷利之さんに、始めたきっかけや目標などを伺いました。


(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」39号/2017年夏号より転載)

農事組合法人 木津みずほ生産組合

1986年設立。所在地は新潟県新潟市江南区木津。
稲作専業の農業法人で、耕作面積は約45ha。
現在、常勤スタッフ5名を中心に米を生産・販売している。

【新しい農業に挑戦!】 稲作×ソーラーシェアリング

―なぜ「ソーラーシェアリング」を導入しようと思われたのですか?
 メガソーラーを導入している先輩の話を聞いて「楽しそうだな」と思ったのがきっかけです。新しいもの好きだからさ(笑)。
 メガソーラーと違い「ソーラーシェアリング」では、営農の条件等を整え農地を一時転用すれば設置できます(※)。つまり、農業と売電が一緒にできるということ。当社では露地プール育苗の上に設置しています。面積は約1反(育苗の総面積は約5反。ハウス育苗と露地プール育苗が半々あり、露地プール育苗の半分の面積に設置している)。円滑に作業ができるよう、地面からパネルまでの高さは2 m以上あります。
 設置にあたっては、育苗期間や検証方法などで農業委員会ともめましたが、3年がかりで話がまとまり、今年4月から工事を開始し、5月に完成。完成した翌日から売電を開始しました。

―3年がかりですか!大変でしたね…。今年から始められたとのことですが、育苗への影響はありましたか?
 通常の露地プール育苗と比べて、根の張りが少し弱かったり、葉の色が濃かったりしましたが、経験値からして問題ない範囲です。育苗に必要な太陽光は、パネルとパネルの間や横から入るので、日射量はほぼ問題ないと思います。田植えも順調に終了しました。


(写真ともに) 左:パネルなし、右:パネルあり。若干の差が見られるが問題ない程度。

―今後の生育や収穫量にどのくらい差がでるか気になるところですね。あと、費用についても気になるのですが…。
 設置費はソーラーパネルやパワーコンディショナー、電柱設置費などトータルで約1,800万円です。売電に関しては、産業用なので設置してから20年間の買取保証がされています。売電目標は年間180万円。そうすると、10年間で設置費を ペイできて、残りの10年間は利益になるという想定です。ざっくりだけどね(笑)。

(写真)左:パワーコンディショナー / 右:電柱と電気メーター。売電の状況が見える。

―ワクワクしますね!あと御社では「ソーラーシェアリング」以外にも、効率的な農業の実践や、農地中間管理機構を活用した農地集積への動き、輸出など新しいことに積極的に取り組まれていますが、どのような農業を目指されていますか?
 儲ける農業!他産業並みどころか、追い越さないとね。そのためにも積極的な情報収集や発信、行動が重要です。外へ出る機会も多いので、現場を任せられるスタッフ達の存在もとても大きいですよ。

(※)営農型発電設備 (通称: ソーラーシェアリング)

平成25年、農林水産省が「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」を公表。農地転用や営農等の取扱いについて取りまとめられている。
詳細⇒ http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/noukei/130401.html

リンク

 (農)木津みずほ生産組合
⇒ http://kitsumizuho.gensenmai.com/farmer/kitsumizuho


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