採用ポイントは、想いとチーム力!
(株)れんこん三兄弟

 大幅なスケジュール変更があった2016年卒の就活。その影響を採用する側はどのように捉えているのでしょうか?
 家族経営体から法人化して5年目となる株式会社れんこん三兄弟。「家族経営の延長線上ではなく、農業をやりたい人たちが心配なく入ってこられるような会社を作ることが一つの目標」と話す同社社長 宮本貴夫さんに、教育方針や採用ポイントについて伺いました。

☆右写真:役員(三兄弟)の皆さま。右端が社長。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」33号/2015年冬号より転載)

採用ポイントは、想いとチーム力!

―初めて社員を雇われたのは何年前ですか?
 4年前ですね。5年前に法人化し、その翌年に縁あって最初の社員が入社しました。そのあと更に1人入社しました。今はその社員2名と、パート6名、僕たち役員3名で会社を運営しています。

―社員教育をする上で大変だったことはありますか?
 最初は感覚のズレがあったので大変でしたね。例えば「100キロ収穫してね」と指示を出したとき、社員は2時間かけて収穫しました。僕たちは最初「その量なら1時間で収穫できるのに、なぜそんなに時間がかかるのか」が理解できず、困惑したり、時には怒りを覚えたりしました。でもこれは突き詰めると、こちらがきちんと指示を出していなかったことに原因があるんですよね。僕たちは「100キロは1時間で収穫できる」という固定概念があるので、時間の指示までは出していなかった。そこで差が生まれてしまったのです。
 特に、初めて農業をする人は、作業にかかる時間や次の作業工程、機械の使い方など具体的なイメージができずに動けなくなってしまうことがあります。それに気付いた後は、「この子にはこれを教えないといけないから、この時間を取らないとね」と作業工程を組むようになりました。社員教育を通して伝達事項の大切さを見直したり、「人が増えても大丈夫な体制を取っておくことが効率的な経営に繋がる」ことを学びました。


△収穫風景

―それだけ準備万端ということは、今後も社員を増やされる予定ですか?
 はい、今は3名募集しています。当社では、1日体験、1週間体験、1ヶ月研修、3ヶ月研修、と段階的に研修をしてもらい、その間に採用・不採用を決定します。お互いを知ることで、ミスマッチも減らせるかと思います。
 採用ポイントは、作業センスのあり・なしは個人差があるので、どちらかと言えばチームとして作業できるかどうかを重視しています。いくら仕事が出来てももめごと起こす人だと続かないですから。
 加えて、「レンコンが届いた方に喜んでもらいたい」という想いを持って作業に取り組んでいるかどうか、または、そこを目指して動いていれているかどうかです。もともと僕たちが直販を始めた理由は「自分たちの作ったレンコンがどのように社会に貢献できているか知りたい」と思ったことが一番のきっかけなので、そこは大事にしたいですね。

―想いの共有が大きなポイントですね。ところで、社員募集をされる際は、就活の解禁日など気にされていますか?
 全く気にしてないですね(笑)。採用活動は1年中していますので、その中で、新卒であっても中途であっても、良い人に出逢えればと思っています。
 あと、当社を含め多くの中小企業は、大企業のように新人研修のための特別な時間を設ける余裕がないので、現場作業をしながら会社の方針やビジネスマナー等を学んでもらう形になります。


△お取引先の飲食店にて。これも研修の1つ!

―日々新しい発見がありそうですね!最後に、学生へ一言お願いします。
 農業は受入れる多様性がいっぱいあります。同じ作物であっても栽培方法や売り先が違えば作業工程もタイムスケジュールも違ってきますし、作物が違えば更にそれらは違ってきます。だからこそ、もし就職先の農業法人が合わなかったとしても、農業が嫌いでなければ、諦めないで探してほしい。自分に合う作物や経営体は、きっと見つかりますよ!


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