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GAPについて

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」42号/2018年春号より転載)

● そもそもGAPとは?

 農業界で扱われるGAPとは、「Good Agricultural Practice」の略称で、日本語で表現すると、「農業生産工程管理」となります。つまり、農業における食品安全、環境保全、労働安全を持続的に行っていくための生産の工程を管理する取り組みです。(※GAP=「子どもから大人までの洋服やアクセサリーをリーズナブルに販売している メーカー」ではありません!)
 食品安全の面からみると、従来の安全管理手法は、収穫した後の農作物のサンプルを抜き出し、残留農薬検査や成分分析を行う「結果管理」のみでしたが、GAPを取り入れることによって、品質の悪い農作物の出荷を未然に防ぐ「工程管理」も行うことができます。農場管理を徹底することによって、生産者、流通業者、消費者と信頼関係を築こうとしています。

● GAP取得のメリットは?

 生産者のメリットは、適切な農場管理ができるので、結果的に生産持続可能性の確保、競争力の向上、品質の向上、農業経営の改善・効率化につながり、強いブランドづくりになることです。また、第三者による評価なので、「信頼できる農場」としてバイヤーにアピールすることができます。
 バイヤーのメリットは、仕入れ先農産物の安全性の確認を行う必要がなくなるため調達業務が効率化します。また、GAP認証を受けていない農場の農産物でないと取引されないこともあるので、GAP取得によって販路が広がると想定されます。

● GLOBALG.A.P 、ASIAGAP、JGAP、都道府県GAPの違いは?

 GLOBALG.A.Pは民間団体が定めたGAPで、事実上の国際標準となっており、欧州を中心に世界120か国以上で普及しています。
 JGAPはGLOBALG.A.Pを基にして日本GAP協会が作成した日本国内の基準となっているGAPです。
 ASIAGAPは国際規格として認められていないJGAPを国際規格として認めてもらうために、JGAP Advanceを発展させたものです。現在、アジア共通のGAPとして普及を始めています。
 日本国内ではほかにも様々なGAPが存在し、現在、都道府県単位でもJGAPを基に、独自のGAPが作られています。これらの基準は農林水産省のガイドラインに従っているため、行政の定めるGAPと言えます。

● どのGAPを取れば有利なの?

 世界各地にGAPが溢れていますが、実際にGAPの内容の9割は重複していて、異なっているのは1割ほどです。地域によって気候や地形、社会環境が異なるように、地域ごとに農業の実態や農産物への価値観が異なるため、GAPはその地域に合わせて作られています。
 つまり、GAPに優位性はなく、比較することは出来ないと考えられます。どこの誰に何を売るかを考えたうえで、取引先が求めるGAP認証を取得することが一番良いと考えられるでしょう。



【参考・引用】
・農林水産省 農業生産工程管理(GAP)に関する情報
 http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/index.html
・農林水産省 認証GAPの取組内容
 http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_torikumi/attach/pdf/try-3.pdf
・一般財団法人日本GAP協会
 http://jgap.jp/




GAPに関する意識調査 (文責:牧浦)

GAP認証を取得する側である農業経営体の皆さんは、GAPに対してどのような印象を抱いているのでしょうか。
今回は32の農業経営体(GAP認証取得済み9、未取得23)の皆さんにご協力いただき、GAPに関するアンケート調査を実施しました。 【集計期間:2018/3/17~23 ・ 方法:WEB】

● GAPを推進することにより実感・期待できる効果

 取得済みは図1、未取得は図2のような結果になりました。すでに取得した経営体が全般的に好印象であるのは当然かもしれませんが、まだ取得していない経営体にとってもGAPの有効性に対する期待は大きいようです。特に労働安全や農場管理への効果が大きいと見られているようです。
 ただしすべての項目に対して「思わない」か「どちらともいえない・わからない」とした回答も3件あり、一部には抵抗を感じている人もいるようです。またGAPをめぐって考え方の違いから衝突があったという意見も複数あり、多様な農業経営を画一的な基準で測ろうとすることの限界も見られました。

● 販売先などから取得するよう求められたことがあるか

 すべての経営体が「いいえ」でした。このように現段階ではGAPは一般的にあまり浸透していないようです。
 そのため特に中小規模の場合、未取得の経営体の中で「メリットがあまりない」と考えている人が多かっただけでなく、取得済み経営体の中でも「販売効果が小さい」という声がありました。

● GAP認証の種類(取得済みの経営体のみ回答)

 こちらは図3の結果になりました。米など穀類を作っている経営体ではJGAP、野菜や果樹などを専門にしている経営体ではGLOBALG.A.PやASIAGAPを取得しているという傾向が見られます。後者の方がグローバルな販路開拓を意識する傾向があるのかもしれません。

● 自由回答の結果

 全体的に、メリットとして「意識・意欲の変化」「経営の改善(効率化、見える化、安全化)」が多く挙げられる一方、大半の経営体がデメリットとして「コストがかかる(認証費、書類作成等事務コスト、設備投資)」という点を指摘していました。個別経営体が負担するGAP認証取得費用は審査費だけで年間数万円~30万円程かかり、取得のための作業・設備所要も膨大なのですが、これらの費用を消費者に転嫁することも難しいため、なかなか取得に踏み出しにくいようです。

<総評>

 GAPを推進する意義自体には好意的で理解を示す経営体が多い一方、費用対効果を考えると「取得のメリットに乏しい」と見られているようです。多くの経営体がコスト負担を過剰だと感じている現状からは、審査基準を見直して軽量版を検討する必要があるかと思われます。
 しかしTPPなどにより日本の農業がますますグローバル市場へと包摂されていく中では、たとえ輸出するわけではなくとも、世界基準に適合させていかざるをえないという現実もあります。
 いずれにせよGAPを本気で普及したいのならば、まず消費者の認知度と理解を飛躍的に推し進める努力をしなければ始まらないと感じました。



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。

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